コロンビアで十二指腸潰瘍

病気

指の感染症以降、どうにもこうにも体の調子がすっきりしない日々が続いていた。服用している薬の副作用なのか、乗り物酔いかのように気分が悪くなったり、胃が痛くなったり。最終的には十二指腸潰瘍と診断されるに至った。

腹痛に背中の痛み

ベッドで横たわっていると、経験したこともないような激痛が背中に走る。さらに、胃の上部が締め付けられるように痛む。あまりの苦痛でほぼ眠ることができず一夜が過ぎた。一体何だったのだろうかというのが十二指腸潰瘍の予兆だった。

その後も、時折、背中の痛みに加え、食事前後に胃が痛むようになっていた。極めつけは、出張で首都ボゴタに行った際、久しぶりにインド料理を発見して、カレーを食べた夜だった。

久しぶりのインド料理にテンションが上がったが、この後のことは想像すらできなかった

その時は、まだ自分が十二指腸潰瘍に罹っているとも知らず、香辛料の効いた刺激の強い食事に問題があるとは想像もしていなかった。食事をしたレストランのナンはいまいちだったが、カレーは及第点で満足のままホテルへ戻り就寝。

夜、例のごとく胃の上部が痛み始める。これまでも何度か襲われてきた痛みだが、今回はレベルがぐんと上がったような気がする。原因が分からないので不安に駆られるが、同時に気分も悪くなり嘔吐してしまう。これですっきりするかと思いや、胃の痛みは収まらず、「太田胃散」を服用して落ち着かせる。

熱も出てきて、このままでは出張どころではない。翌日以降の日程をキャンセルすることも覚悟して休む。幸い、熱は下がり、胃の違和感は完全には払拭されてしなかったが、そのまま出張を継続することにした。

出張期間中の4日間は、激しい胃の痛みが発生することはなかったが、体の状態は本調子に程遠かった。

緊急検査入院

出張から戻り、これまでの症状などからリサーチしてみると、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性が高そうだ。症状の多くが該当していた。医者でもない素人がネットでリサーチしただけなので、実際はもっと深刻な病気かもしれない。

困ったときの緊急外来。もうさすがに慣れてきた。いつもと同じように受付を済ませて診察まで待つ。通院頻度が高くなったせいか、看護師や警備員の中に顔見知りも増えてきた。

問診の医師に対し、これまでの経緯と症状を伝えると、やはり胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性が高いので胃カメラの検査を実施すると告げられた。

検査は翌朝なので今から絶食!と宣言される。昼食以降何も食べていない。この時点で21時。こんなことになるなら、病院に来るまでに何か夕食を食べてくるべきだった。おまけに、検査まで点滴を実施するから、入院して下さいと告げられる。

「何も食べませんので家に帰してください」という祈りに近い願いはあっさり却下され、そのまま処置室に通され、点滴がスタート。こんなときに限って、携帯のプリペイドプランが切れている。

用件があると看護師に伝えて点滴の袋を抱えながら処置室から抜け出し、一旦wifiの通じるロビーまで戻り、上司に明日の欠勤を伝える。入院することになるなんて想像もしていなかったので、当然、荷物の身支度もしていない。

検査入院の1日だけなので着替えはいいとして、歯ブラシは必須。そのまま病院の地下にある売店で歯ブラシを購入して処置室に戻る。ベッドが空いたらそちらに移ってもらうと言われたものの、結局空きは発生せず。

夜2時くらいまでは処置室のソファうとうとしながら起きていたが、その後眠りに落ち、気が付けばソファで一夜を過ごして朝を迎えた。横たわれなかったので体中あちこちが痛む。

麻酔で眠らされ胃カメラ

朝7時過ぎくらいに検査室まで車いすで運ばれる。一応、歩けると意思表示はしたものの、車いすに乗せられた。

私立病院ということもあり、医療機器や設備はそれなりに整備されている。胃カメラの大きさがどれくらいなのか。ひと昔前の大きなサイズだったら、飲み込むのにも苦労しそう。

そんな想像を巡らしていると、手の甲に刺さった点滴の管に麻酔を注入され、ほどなく意識が遠のいていく。麻酔法で眠っている間に検査をするのか。のどの局所麻酔だけで検査するのかと思っていたが、よく説明もないまま眠りに落ちる。

次に目を覚ました時にはもう検査が終了していた。唾液を飲み込むと襲ってくる喉の痛みから、カメラのサイズは結構大きかったのではないかと思われる。

午前中に検査は終了したので、後日、診断のために病院に戻ってくればよいのかと思いや、結果が出るまで帰れないようだ。

何待ち?の待ちぼうけ

昨日の昼から何も食べていないので、空腹との闘いが始まる。まだ、胃カメラ検査後の喉の痛みがあるので、食べ物がすんなりと喉を通るとは思えないが、長時間何も食べていないという心理が空腹を助長させる。

朝一で検査が終了したので、昼過ぎには帰宅できるかもという希望的観測は見事に裏切られ、診断結果がなかなか出ない。例のごとく、診察室のソファで点滴を打たれて時間を過ごすのみ。

結局、診断が出たのは17時過ぎ。十二指腸潰瘍という診断だった。素人には胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違いは不明だが、想定の病気だったので安堵感に包まれた。

診断も出たので、ようやく帰れると思ったのに、ここから会計処理に時間を要する。今晩も帰宅できないのではないかという不安に襲われる。時刻は21時近く。ようやく処理が終わりお支払い。

プチ検査入院費用は、一旦、全額自己負担で2,768,428ペソ(=約79,000円)。桁数が多いコロンビアペソ。もう金額はどうでもよくなっていた。とにかく無事にクレジットカード決済を完了させて家に帰りたい。支払いも問題なく済み、病院の外に。

タクシーがいない!

明らかに通りの雰囲気がこの日の夜に限って違う。交通量が少なすぎる。よって、タクシーが全然捕まらない。配車アプリでタクシーを検索するも、そもそもタクシーが全然走っていない。一瞬、マッチングしたような表示が出たと思えば1時間待ち。どうなっているんだ。

後から気が付いたが、この日はel día de las velitas という日で、クリスマスシーズンの始まりをロウソクに火を灯し、軒先などに並べて祝うようだ。夜店などもあり、街中がお祭りムード。そんな雰囲気とは程遠い、十二指腸潰瘍を抱える状態。

待てども待てどもタクシーが捕まる気配が全くない。もうこれは歩いて帰るしかない。昨晩から何も食べていないので、エネルギーが全く湧いてこないが、ここは最後の力を振り絞ろう。

このイベントのせいで、タクシーが捕まらないという迷惑を被った一方、夜でも人の流れがあったので、歩いて帰る際には治安はそれほど気にならなかった。家に着いた時には疲労感がどっと押し寄せてきた。

病院では、あくまで診断ができただけなので、きちんと専門医の診察を受けて治療するようにと言われたが、この夜はもう何も考えられないくらい疲れていた。専門医の検索はまた日を改めてリサーチだ。(つづく)

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