イスタンブール 長時間トランジットの過ごし方

フライト

日本からベネズエラまでの果てしない道のりは、トルコ・イスタンブールで約21時間の待ち時間が含まれている。ほぼ1日近いトランジットをどのように過ごすか。今回はターキッシュエアウェイズが提供する無料トランジットホテルで、イスタンブールでの待ち時間を過ごす話。

シティツアー or ホテル滞在

ターキッシュエアウェイズのシティツアー及びホテル手配カウンター

長時間の待ち時間を過ごす方法は主に3つ。1つ目は、トルコに入国せずに、制限エリア内に留まり、免税店でショッピング、レストランで食事、あるいはラウンジで休憩。

2つ目は、ターキッシュエアウェイズが提供するイスタンブールのシティツアーに参加する。半日、一日ツアー、夕方のツアーなど様々なコースが設定されているので、乗り継ぎ時間に合わせて好きなコースを選択できるようになっている。

最後の3つ目は同じくターキッシュエアウェイズが提供するトランジットホテルサービスを利用する方法。

今回は、大阪からイスタンブールまで深夜便で12時間近いフライトに加え、イスタンブール到着は早朝4時ということで、シティーツアーに参加する体力はもはやなく、かといって空港内で20時間以上も留まるのもさらに疲れそうなので、ベッドで一休みできるトランジットホテルサービスを利用することに。

このサービスは、乗り継ぎ時間がエコノミークラスの場合12時間以上、ビジネスは9時間以上が利用条件となっている。最大2泊まで無料で滞在可能。

イスタンブール到着後、入国審査を済ませたら、ターキッシュエアウェイズのホテルデスクに向かう。預入荷物は最終目的地のカラカスまで直接運ばれるため、荷物のピックアップは不要というのがありがたい。

午前4時30分という早朝にも関わらず、窓口は開いていて、乗り継ぎ便の搭乗券を提示して手続きを依頼。ホテルに予約を入れるので、15-20分ほど近くのベンチで待つように指示される。

5時になっても呼び出しがかからないので、職員に尋ねると、もう少し待つようにと。もう1人、英国人の旅行者も同じように待っており、お互いに時差ぼけの中、待ち時間が堪えると慰め合う。ようやく手配が整いホテルに向けて出発となったところで、このイギリス人がトイレに行きたいということで、しばし待つことに。トイレから戻ってきたら、別のトランジット客も合流させるための手配が進んでおり、さらに待たされることに。

航空会社からしてみれば、1,2人をホテルに運ぶより、ある程度まとまった数の乗客を送迎するほうが効率がいいのは確か。結局空港を出発したのは5時20分。

空港からホテル、さらには空港に戻って来る送迎も無料でサービスに含まれている。

滞在ホテルは5つ星

イスタンブール国際空港の周辺にはホテルはなく、40分ほど中心部に向けて送迎バスが進んで行く。朝日が昇り始め、多くの人にとっての1日が始まろうとしている。

ターキッシュエアウェイズからオファーされた5つ星ホテル

6時にホテル到着。外はまだ肌寒い。滞在するのはTuyap Palasというホテル。聞いたこともない名前だが、自社のホームページでは5つ星となっており、スタンダードツインルーム1泊の宿泊料金は119ユーロ(=約20,000円)となかなかのお値段。
チェックイン時には、食事サービスも含まれているということ、空港までの送迎車の集合時間などの案内を受けて、部屋に向かう。

トランジットで休憩するのには十分な広さの部屋

部屋に到着したら、シャワーに直行。長時間のフライトの疲れを緩和させる。シャワーですっきりした後は、そのままベッドで休もうかとも思ったが、一旦眠りに落ちると、いつ目が覚めるかもわからないので、サービスに含まれていた朝食を摂るためにレストランへ。

ホテルオリジナルのアメニティ

バイキング形式の朝食だが、チーズの種類の多さに驚かされた。機内食で朝ごはんを食べていたので、フルーツとサラダで軽く済ませる。

トランジトホテルサービスに含まれていた朝食バイキング

食事の後は、ベネズエラに到着してからの時差ぼけを調整すべく、寝ずにジムに向かうか、観光に行こうかと考えたが、まだ早朝なので運動する気にはなれず、かつこのホテルがイスタンブールの名所であるブルーモスクなどがあるエリアからかなり離れていることに気が付き、散策も断念。

時差ボケ調整は一旦おいて、眠気に逆らわずにそのままベッドで休む。

念の為、送迎時間の1時間前に目覚ましをセットしておいたが、寝たのは3時間ほど。起きた頃には、昼食の時間となっていたので、再びレストランへ。

トランジットホテルの昼食バイキング

朝食の時は、多くの宿泊客がレストランを利用していたが、すでにチェックアウトしたか、市内の散策に出かけたせいか、昼食のサービス時はがらんとしており、そのせいか、メニューも朝食と比べると、種類が少なかった。

トランジットホテルサービスに含まれているので、文句は言うべきではない。種類は少なくても、トマトスープは優しい味わいで、お代わりをしたくなるほどだったし、ナスのペースト状になったサラダはユニークな食感を楽しめ、ニンジンとヨーグルトのサラダはレシピをチェックして自分でも作りたくなったほど、トルコ料理を堪能。

ジム、サウナ、プール、ホテルの設備をフル活用

ホテル内のジム

昼食後、時差ぼけのせいで急激な眠気に襲われると予想していたが、3時間ほど寝たせいか、体はすっきりしていたので、昼食の消化が終わった頃合いに、ホテル内のジムへ。サウナとプールも完備。

手荷物の中に、水着を入れておいたのは大正解。

ジムで30分ほど軽く体を動かしたら、サウナへ。他の利用客がいないので、静かに思う存分、リラックス。本場のはハマムに行こうと考えていたが、ホテルからは遠かったので、ホテル内のサウナが完備されていたのは助かった。さすが5つ星。

サウナも完備

サウナで存分に汗を流して体のむくみを取ったあとは、プールでリラックス。トランジットサービスというのに、ホテルの設備をフル活用。

日光が降り注ぐプール

ガラス戸越しに日光が注ぐプールは、サウナで温まった体を整わせ、さらに太陽の光で時差ボケを調整するのにピッタリ。

ホテルにたどり着くまでは、空港のホテルデスクで待たされた時間が長く、不満が募っていたが、食事サービス、ジム、サウナ、プールなどリラックスできるホテルの設備が利用でき、満足度がアップ。

ホテル周辺を散策

ホテルのルーフトップバーからの眺め

運動とサウナでリラックスした後は、仮眠も考えていたが、プールで日光を浴びたせいか、体が起き上がった状態に。

部屋に留まるという選択肢もあったが、数年前にトルコに来たときに余ったトルコリラがあったので、それを握りしめてホテル周辺の散策に出かけることに。

ホテルの外に出る前に、29階のルーフトップバーへ。街が一望できたが、ホテルの周辺は幹線道路が走っており、街散策には不向きな印象。天気がいいので、近くのカフェでお茶くらいでよいだろう。

ホテルのWi-Fiを使用して、一番近くのカフェに目星を付けて目指すと、案外近くですぐに到着してしまい物足りない。青空がさらなる散歩へと誘う。

幹線道路には歩道橋が架かり、夕方の時刻ということもあり、学校帰りとみられる学生や、勤務を終えて帰途に着く人々が行き交う。

歩道橋の階段を上ると、少し視界が開けてモスクが目に飛び込んできた。イスタンブールのアイコン、ブルーモスクではないだろうが、立派な佇まい。そのモスクを最終目的地にして、散歩を続ける。

Beykent Camiというモスク

遠くに見えていたモスクのドームだったが、意外と距離は離れていなかったようで、15分ほどで到着。観光客向けのモスクではなさそうなので内部の写真撮影は控えたが、タイルの装飾が美しい内部だった。

時刻はすでに午後5時を回ろうとしているが、太陽はようやく南中高度を過ぎて、日が傾き始めたくらいの位置取りで、まだまだ辺りも明るい。

青空の下で楽しむ散歩

時差ぼけ調整も兼ねて、日光を浴びるためにモスクからショッピングモールらしき建物まで歩き、別のルートでホテルまで歩いて戻る。日は照っているけれども、湿度は全く感じず、快適な散歩を楽しむことができた。

カフェのお茶で一息

ホテルの部屋に備えてあったお茶で済ますこともできたが、ここは地元の雰囲気を味わうべくカフェへ。所持金は40リラの現金のみ。かつて、トルコリラ建ての債券に投資したことがあったが、その頃のレートは1トルコリラ=約50円前後と記憶していたので、手持ちのお金は2,000円位の価値があると信じていたが、最新のレートでは1トルコリラ=5円を割る水準。

為替に加え、トルコは前年同月比で70%近いインフレに悩まされており、物価がどんどんと上がる状態。よってこの手元のお金では注文できるのは、文字通りお茶くらい。

あわよくばデザートも食べたかったが予算オーバー。何とかお茶一杯は35リラ(=約170円)だったので、散歩の休憩も兼ねてカフェで一息。

送迎車で空港に出戻り

試合後のナダルのインタビュー

ホテルに戻ると、ロビーのテレビに映し出されていたのは、テニスの全仏オープンのズべレフ対赤土の王者ナダルの試合。今年での引退を示唆しているナダルにとっては最後の全仏オープンになる可能性が高い。

急いで部屋に戻って試合を観戦。残念ながらナダルの1回戦敗退となってしまったが、14回の全仏優勝という輝かしい実績が色あせることはなく、最後になるかもしれない全仏オープンでのプレーをリアルタイムで見れたことに感動。

ホテルの窓からの夕日

午後8時30を過ぎるころ、ようやく太陽が1日の働きを終えて、稜線の奥に姿を消していく様子がホテルの部屋から伺うことができた。

朝食と昼食が含まれていたトランジットホテルサービスだったが、夕食は対象外ということなので、空港までの送迎バスが来る午後10時まではホテルの部屋でくつろぐ。

空港までの送迎バス

出発の10分前までにチェックアウトを済ませてロビーで待機するように指示されていたので、その通りに空港までの送迎バスを待つ。

ホテルまでの道のりは3人しか乗客がいなかったが、その後に同じようにトランジットサービスを利用したのか、空港までのバスは、車内の座席がほとんど埋まってしまうくらいの乗客を運ぶ。

イスタンブール空港

空港までは45分ほどの道のりだが、バスの窓から空を見上げると、晴れ渡ったイスタンブールの夜空に5機もの飛行機が行き交う姿が目に入る。これほど同時に複数の機体を上空で目にしたことはない。イスタンブールも世界の主要ハブ空港として、その存在感が増している証拠なのだろうか。

ターキッシュエアウェイズラウンジで夕食

ターキッシュエアウェイズのラウンジ

空港に到着した後は、出国手続き、保安検査を通過して、ターキッシュエアウェイズのラウンジへ。出発まではまだ少し時間があるので、ホテルで食べられなかった夕食をラウンジで頂こう。

トルコ料理満載のラウンジ飯

ターキッシュエアウェイズのお膝元のイスタンブール空港なので、そのラウンジの豪華さは至極当然だが、ケバブ以外はあまり見慣れないトルコ調理がラウンジ飯で楽しめるのもありがたい。

21時間という気の遠くなるような乗り継ぎの待ち時間だが、ターキッシュエアウェイズのトランジトホテルサービスを利用したことで、ホテルのベッドで休めたり、サウナで体のむくみを取ったり、ホテル周辺の散歩も楽しんだりと充実した時間を過ごすことができた。

ターキッシュエアウェイズを利用してイスタンブールからその先の目的地に向かう際には、長時間の乗り換え時間ではトランジトホテルサービスを利用する価値あり。

タイトルとURLをコピーしました