予想外のベネズエラの首都・カラカスへの異動となり、以前のように出張に出向く機会もあまりなさそうなので、ジムに通うことを決意。職場と自宅周辺から少し範囲を広げてのジム探し。そこから見えてきたベネズエラの社会の一面を紹介。
石を投げればジムに当たる?
職場と自宅は徒歩圏内なので、その周辺でジムと検索してみると、星の数ほどとまではいかないが、石を投げればジムに当たるのではないかと思うくらいの数。
スピニングバイクやクロスフィットに特化したジムから、スタジオと筋力トレーニング器具が一式揃ったジムまで様々なタイプのジムがヒット。ベネズエラ人は運動好きなのか?
思い出せば、野球選手では日本でも活躍したカブレラやラミレス、女子三段跳びの世界記録保持者のユリマル・ロハスなど、海外で活躍する選手を多く輩出している。さらには、ミスユニバースのベネズエラ代表は上位の常連で、プロポーションに対する美意識も高そう。こうした事情から、ジムの需要が旺盛なのかもしれない。
徒歩圏内かつサウナが完備されているところを条件に絞っていこう。とはいえ、ジムの中には、ホームページはなくインスタだけという場所もあり、インスタでは設備や料金が説明されていないところもあり、5つほどピックアップして直接見学に。
内覧者にもごり押しのパーソナルトレーナー

1つ目は、自宅から徒歩10分ほどの距離だが、事前にサウナが完備されていることを確認済み。小さな商業施設の一画に展開するジムで、訪れたのが週末というせいか、人はまばら。
設備は比較的新しく、ロッカーも清潔感が漂う。やや狭いのがネックだが、サウナも完備されている。自宅からの距離を考えると、第一候補として考えたが、お値段にやや腰が引ける。
月額利用料180ドル(=約27,000円)!! 一瞬値段を聞き間違えたのかと思ったけど、確かに “Ciento” ochentaと百の位を発音していた。ジムがあるエリアを考慮して、さらにサウナも完備しているとこれだけの値段になるのか。若干、気持ちが引いていたところにとどめを刺すかのように、別途、入会金が50ドル(=約7,500円)かかるという。ベネズエラでジム通いはセレブの特権なのか?
ジムの階下にはカフェがあり、運動を終えたジムの利用者がお茶している。毎回、カフェの誘惑に駆られるのは悩みの種。料金に打ちのめされ、この日はこのジムの見学だけで終了。
週明けに同僚にジムの値段について報告すると、この辺りでは安くても80ドル(12,000円)はするという。本当にチョコザップの企業努力を見習ってほしい。脱毛やエステ、歯のホワイトニングまでできてあの値段、本当に素晴らしいの一言に尽きる。
2軒目のジム見学は、事前に質問ができなかったので、直接訪問。サウナが完備されていないのが判明した時点で、選択肢からは消えたが、見学の途中で帰るのは失礼かと思い、一応最後まで説明を聞く。テラスのスペースがあり、カラカスの景色を一望しながら運動ができるの少し興味がそそられたが、月額料金は80ドルで、格安というわけでもない。
さりげなく断れるようにそつなく愛想を振りまいたせいか、案内してくれたパーソナルトレーナーのごり押しがすごい。最後は連絡先までワッツアップに登録させられ、いつでも質問や疑問点がれば連絡して来てと。契約獲得が歩合制なのだろうか。それでも女性のパーソナルトレーナーが男性客、しかも一見さんに終わる可能性がある人に対して電話番号まで教える意気込みに圧倒された。
3軒目は同じ80ドルでも同僚から事前にサウナが完備されている情報を共有してもらった。職場から徒歩15分、自宅からは20分くらいの距離。まだ街に慣れていないせいか、周囲の治安を気にしながらジムに到着。月曜日ということもあり、満員オンパレード。ジム自体も広かったが、それでも100人以上、200人くらいの利用者がいたのではないか。器具は順番待ちまで発生。
またもパーソナルトレーナーに案内してもらったが、こちらはもう十分な利用者がいるせいか、ごり押し感じゼロ。
それぞれのトレーニングスペースを利用者を合間を潜り抜けなければならないくらいの混雑ぶり。さすがに人が多いのは苦手なので、80ドルでスチームサウナ付きだったが、断念。
10日から休会OKに3カ月割引が嬉しい特典

大混雑のジムの見学に疲労感が募ったが、さらにそこから徒歩で5分少々の場所にもう1軒ジムがあったので、ここを見学して終わりにしよう。
オフィスビルとホテルの建物の中にあるようで、とてもジムが存在しているようには見えず。どのエレベーターでジムのある階までたどり着けるのかが不明で、一体何人の警備員に尋ねたことか。警備員の中には知らずに、適当に案内していた人もいたことが後から判明。
やっとの想いでたどり着いたジムは、営業時間外かと思わせるくらいの閑古鳥状態。先程のジムとは正反対。そのせいか、この静けさに一目ぼれ。
ドライサウナとスチームサウナが両方完備され、さらに“ととのう”ためのスペースもあり、タオルも無料で貸し出し。もはや値段がいくらでもいい、ここに決めた。
さすがにこれまでで一番の設備、月額料金は200ドル(=約30,350円)とまさかの3万円超え。入会金はかからないので、1軒目のジムと比較するとほぼ同額。3カ月契約すると、480ドル(=約72,900 円)と1カ月あたり40ドルの割引。さらに、旅行などでジムこれない場合は、10日以上から一時休会も可能という柔軟ぶり。職場から徒歩で20分弱というのが少々ネックだが、歩いていけば、ジムでレッドミルをする手間が省ける上、この高額な料金を支払ったので、何としてもより多く通わなければ元が取れないという気持ちのインセンティブが働くことを期待。
私物化としたロッカー

早速、ジムを利用しようと更衣室に向かうと、利用客の数と釣り合わないロッカーの数。
その上、ジムには数人しかいないのに、半分以上のロッカーに鍵がかけられている。どうやら、利用者がロッカーを私物化しているようだ。
これなら、荷物の少ない時にトレーニングウェアを持参して保管しておくこともできるし、サウナを利用した後、ととのうまでに時間潰しのためのペパーブックも置いておける。
ジムの月額利用料は割高だが、カフェテリアスペースには、コーヒーとクラッカー、手洗い場には、マウスウォッシュに綿棒、ドライヤーに整髪剤と、価格に沿って充実したサービス内容。
3カ月で50回くらい通うことができれば、1回あたりの利用料が1,500円位の計算になるので、ひとまずこれを目標にベネズエラでのジム通いを始めてみよう。