ベネズエラのスペイン語

ベネズエラ

海外での仕事の永遠の課題はなんといっても語学。かれこれ南米での生活は5年以上にもなるが、いまだにスペイン語で知らない単語や表現と出くわす日々が続く。単語帳を作ったりメール表現をメモにまとめたりと、受験生さながらの地味な作業を積み重ねていくしかない。スペイン語の場合、まずスペインとラテンアメリカで大きく分かれ、さらにラテンアメリカ内でそれぞれの国で使用される独特の表現などがあり、四苦八苦させられる。今回は、ベネズエラのスペイン語に焦点を当てる話。

独特なフルーツの呼び名

ベネズエラではマンゴーやバナナといった果物が手ごろな値段で購入でき、ジューススタンドも見かける。割安に様々なフルーツを楽しめるのは嬉しいが、苦労させられるのはその名前。

仕事の合間に立ち寄ったジューススタンドに掲げられたメニューに目をやると、Fresa(イチゴ)、Mora(ベリー)、Melón(メロン)はさすがに、記憶された単語なのですぐに理解できたが、“Lechoza”、“Cambur”といった聞いたこともないフルーツの名前が書いている。

ひょっとしてアマゾン地域特有の果物かもしれないと想像を働かせ、Camburを注文。

出されたのは至って普通のバナナジュース。どうやらベネズエラでバナナはカンブールと呼ばれるようだ。気になったLechozaを尋ねると、こちらはパパイヤ。

このジューススタンドのメニューにはなかったが、この他にもパッションフルーツは、ほかの国のスペイン語ではMaracuyáと呼ばれるが、ベネズエラではParchitaが一般的。このパルチータという単語は音の響きのせいなのか、強く印象に残り、完全にベネズエラでの呼び名に頭の中で置き換わってしまい、時折、Maracuyáという単語が思い出せなくなっている。

レストランの定義は?

出張先で同僚と昼食を共にする際、どこで食事をしようかと尋ねると、どのレストランでもいいよとの返事。レストランと言われると、かしこまった印象。同僚の中には、あまり食事にお金をかけたくない人もいるだろうから配慮も必要。

しかし、ベネズエラでのレストランの定義は食事をするところ。つまり、日本語だと食堂と呼びたくなるような場所もレストランなのだ。

他のラテンアメリカの国では食堂のような雰囲気の場所は“Comedor”と呼ばれていたところもあったので、レストランの定義の範囲に慣れるまで時間がかかった。

日本で食事をする場所の呼称といえば、食堂のほか、フードコート、カフェ、レストラン、料亭、割烹、〇〇屋(定食、寿司、蕎麦、鰻など)、フードコートなどは英語だとしても、形態によって呼び名が分かれる。

こうした日本語をベネズエラのスペイン語に翻訳する際にはレストランという訳の一択になるということだろう。

また、“レストラン”での注文の際に、食事以外に飲み物のオーダーを聞かれることがあるが、ベネズエラではジュースは“Refresco”という単語が使われ、他の国でよく耳にする“Jugo”という単語はあまり聞かない。

スペイン語はまだまだ伸びしろがある状態なのに、ベネズエラでの独特な表現に精通する必要があり、記憶の容量が溢れそうに感じる時がある。

語学学習の苦労は永遠に続くものだが、それでもこうしたその国特有の単語や表現が自然と口から出てくると、地元の人の反応も好意的になる上、何より自分自身が現地に馴染んていることを実感できるのも事実であり、この楽しみが語学学習の後押しとなる。

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