ベネズエラの日本食

ベネズエラ

寿司、ラーメン、和菓子など、日本食は世界でも大人気。日本人として、自国の食文化が異国で受け入れられているのをみるのは誇らしい瞬間でもある。日本からは地球の裏側にあたるベネズエラで気になる現地での日本食を紹介する話。

日本食は大人気

日本でベネズエラ料理を目にすることも耳にする機会はほとんどないが、それとは反対にベネズエラでの日本食の認知度は高い。ベネズエラ人の同僚からも「日本食レストランで食事をしたことがある」「大好きな食べ物の1つが寿司」などと、日本食が糸口になって会話が弾み仲良くなることがある。それくらい日本食に関心を持ってもらえているのは喜ばしいこと。

住んでいる街はそれほど大きくはないが、それでも寿司レストランが数軒展開されており、日本食の人気度が伺える。

Why Venezuelan people!?

ニューヨークやロンドンなど世界の主要都市で日本の数倍以上の値段を出せば、日本でのクオリティに遜色ない食事に手が届くが、そうでない場合は、現地化された日本食になってしまう。

ベネズエラに赴任してから、日本食が恋しくなったことはないが、事あるごとにベネズエラ人の同僚から「ここの寿司は食べた?」「あの日本食レストランに行って感想を聞かせて」と、当地の日本食にお墨付きをせがまれることがしばしば。

ある週末、別の同僚と昼食のために外出。お目当てのレストランは週末は営業していなかったので、代替案として、すぐそばにあった寿司レストランへ。

店内は賑わいを見せており、改めて寿司の人気を思い知らされる。

メニューは、聞き覚えのないものばかりだったが、昼食のプロモーションの一品である船盛を注文。

待つことしばし。

現地の寿司寿司レストランで提供された船盛

運ばれてきた食事は、確かに船盛だったが、一瞬目を疑うような寿司。いや寿司?と疑問を抱いたほど。

船盛ということで、にぎり、巻きなどいろんな寿司がセットになっているのかと思いきや、巻きのみ。

その上、生魚は使用されておらず、その代わりなのか、揚げ物を多用。さらに海老天まで載せられて、デコレーションまで施されている。ゴマがまぶされているのには目をつぶったとしても、余すと来なくかけられたソース。

一体だれがこれを寿司として伝授したのか。あるいは寿司をどのように解釈したらこのような形になるのか。

厚切りジェイソン氏の「Why Japanese people!!」ならぬ「Why Venezuelan people!!」と思わず叫びたくなった。

見た目の衝撃もさることながら、この揚げ物とソースのせいか、日本で寿司の盛り合わせ一皿をペロッと平らげるにはほど遠く、一口ごとにどんどんと胃が重くなっていき、しまいには全部食べ切れず持ち帰る始末。

注文したプロモーションの一品が例外だったのかと思いきや、隣のテーブルに運ばれたきた巻きずしは、もはやその見た目からはそれが巻きずしとは想像できない様相。巻き寿司を覆いかぶさるように揚げ物のような物がどっさりと積み上げられ、ソースで覆われている。

ラテンアメリカでは同席していない他のお客さんにも、食事を楽しんでもらう意味合いで「Buen Provecho」と声をかけることが一般的だが、この料理の見た目の衝撃に、もはやその声をかけるのが憚られた。しかし、そのお客さんは美味しそうにこの“寿司”を頬張っている。この人達がインバウンドで日本に来て、日本の寿司を注文したら一体どうなるのだろうか?「日本の寿司には揚げ物が付いていない!」「ソースもかかっていない」という残念な印象を抱くのだろうか。

日本人が現地の寿司レストランで食事したという噂はすぐに広まり、ベネズエラ人の同僚からその意見を求められる。正直に、これはいままで見たことも食べたこともないスタイルと伝えるのが精一杯。気心の知れた同僚だけには、正直、もう2度とあのレストランには行かないと誓った。

実際、日本の友達に写真を送ると、「今日は天丼食べたの?」「これはどこの国の料理?」などと、誰も寿司を食べたとは想像できなかったのが事実。

ハンバーガー、ピザは?

海を越えた寿司がどうしてこれほどまでに違う形に姿が変わってしまったのだろうか。

寿司と並んで世界中で食べられているハンバーガー、ピザの場合はどうなのか。ベネズエラでも、他国と同様、寿司、ハンバーガー、ピザはいたるところに溢れている。

同僚と、サッカーの欧州選手権をバーでパブリックビューイングする機会があったので、その際にハンバーガーを注文。

チキンバーガー

牛肉ではなく鶏肉のバーガーを注文したが、その見た目は衝撃を受けるほどではない。むしろ誰がみてもハンバーガー。お味も可もなく不可もなく。

別の日に、同僚の送別会が開かれたイタリアンレストランではピザを注文。

マルガリータ

若干チーズの量が多いように感じたが、味は絶品。ピザ生地も薄くて、イタリア人の同僚がお墨付きを与えるくらい。それ以来、同僚との食事は、このイタリアンレストランが選ばれることが多くなった。

ハンバーガーとピザの再現性は、一定のレベルなのに、どうして寿司だけが…。思わずもう一度「Why Venezuelan people!!」と声を上げたくなる。

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