海外駐在生活での懸念事項の1つは現地の物価。近頃の円安傾向も相まって、海外での生活費が高くつくようになってしまった。現在の居住地ベネズエラは、デミネーションによるインフレに見舞われたが、昨今の物価は落ち着きを取り戻している。今回は、食料品を中心にしてベネズエラの物価を探る話。
ペットボトルの水250円!
現地の生活に慣れるまでは気を付けたいのが水。ベネズエラで水道水を飲むのは推奨されていないので、浄水された水かペットボトルの水を購入することになるが、スーパーで販売されている1.5リットルのペットボトルの水は1.71REF。このREFは米ドルを指す表記なので、現在のレート1USD=約148円で計算すると250円。
隣国コロンビアからの輸入商品とは言え、陸路でも運送できるのにこの価格。エヴィアンかっ!とツッコミたくなる価格。産油国ベネズエラでは、ガソリンより水の方が高いと揶揄されるのに納得。
ミネラルウォーター以外にも、日々の買い出しで高くつくと実感させられるのがヨーグルト。150グラムのカップサイズで2.48REF(=約370円)!大きなサイズを購入すれば多少単価は安くなるが、それでも500グラムのサイズでは1,000円以上。朝食のヨーグルトは、今まで以上にありがたくいただかなければならない。
ベネズエラ料理は油っこいものが多いので、できるだけ自炊を心がけているが、「だって人間だもの」、時折ジャンキーな物が無性に食べたくなる。そんな衝動を強制的に抑えこますようなお菓子の値段設定。ドリートスは420グラムで6.43REF=約960円。衝動的に手が伸びる値段ではない。おかげでベネズエラでは、ジャンキーな食べ物とは距離が置けそうだ。
外交官の在勤手当は中南米でNo.2
当地の物価の目安となる指標で一般的なのはビックマック指数だが、外務省が在外公館で勤務する職員に支払う月額の在勤基本手当も参考にすると、その国の物価状況を伺うことができる。
中南米・カリブ諸国では大使の在勤基本手当はハイチが唯一、100万円を超える水準でトップ。。治安状況から一時閉館されていた大使館が再開されたのは2024年8月。現在の無政府状態に近い治安状況を考慮すれば、安全面でもコストがかかるので、妥当な水準だろう
そのハイチに次いで、在勤基本手当が高いのがベネズエラ。大使には月額99万円が支給される。隣国のコロンビアは76万円、ブラジルは78万円それぞれの大使に支給されることを考慮しても、ベネズエラは周辺国の3割増しの手当をしなければならないほどの物価水準。水とヨーグルトの値段からも納得。
八百屋が強い味方
こんな物価高のベネズエラで生活費を抑えながら駐在暮らしをするには、街のあちこちで見かける八百屋を活用しない手はない。
コロンビアとの国境沿いの街では、通貨はコロンビアペソが流通しており、値段表記もコロンビアペソ。ほとんどの看板が2,000ペソ(=約70円)となっているが、これが1キロ単位の値段なのかはいまだに謎。
例えば、イチゴやリンゴなどの果物は計り売りとは別会計のようで、そのほかの野菜、ニンジンやジャガイモ、キュウリといった野菜は一律量り売りで計算されている模様。
八百屋で購入した玉ねぎ3玉、リンゴ2個、ビーツ3個、レモン2個、ミカン3個、生姜、パプリカ2個、ニンジン4本、パパイヤ1個、グアバ3個、アボカド1個、レタス1個、卵15個で260,000コロンビアペソ(=約920円)。コロンビアペソはゼロが多いので一瞬、高額なように錯覚させられるが、日本円換算では1,000円弱。
街の八百屋をうまく活用すれば、生活費は抑えられそう。割安な果物や野菜で少し節約できた分をヨーグルトに回して駐在生活を乗り切る。