ベネズエラ-コロンビア国境越え

ベネズエラ

勤務先の研修のためコロンビアに出向くことになったが、居住地からベネズエラの首都カラカスまで移動して、コロンビアの首都ボゴタまで飛行機で向うのではなく、ベネズエラとコロンビアの陸路の国境を越え、コロンビアのククタから飛行機でボゴタに移動するルートを指定された。島国出身のせいか、陸路で国境をまたぐとなると、より一層気持ちが高ぶる。今回はベネズエラとコロンビアの陸路の国境を移動する話。

アタナシオ・ヒラルドット橋から越境

ベネズエラとコロンビアの国境

ベネズエラ。タチラ州からコロンビアへ越境するポイントは3つ

  • Puente Internacional Simón Bolivar
  • Puente Internacional Atanasio Girardot
  • Puente Internacional Francisco De Paula Santander

これらのポイントは出入国が合法的に管理されている地点であり、こうしたコントロールを避けてベネズエラとコロンビア両国を行き来する “Trocha” と呼ばれるルートも存在するのも事実。

ベネズエラが経済危機に陥り、何万、何百万という人々が国境を越えて国を後にする際、ニュースの映像でよく流れていたのは、Puente Internacional Simón Bolivar のポイント。

この橋は、ベネズエラ川の出国審査を終えてから、タチラ川に架かる橋の上をしばらく歩かなければならないということで、安全面からこの国境地点を利用する許可は下りず。

代わりにPuente Internacional Atanasio Girardotを利用して、コロンビアに入国することに。

ベネズエラ・コロンビア両国間は、貿易や人の行き交いも多く、ベネズエラで手配したタクシーでコロンビア側のククタの空港まで移動したり、またその逆でコロンビアのタクシーでククタの空港から国境を越えてベネズエラの目的地まで移動するということが頻繁に行われているようだ。

今回の手順として、ベネズエラから所属先の車でベネズエラの出国手続きまで済ませて待機。コロンビア側から、別の車に待機場所まで迎えに来てもらい、コロンビアの入国手続きを経て、ククタの空港に向かうというもの。

ベネズエラの出国はスムーズ、コロンビアの入国は長蛇の列

ベネズエラの国境

国境のコントロール地点に近付くと、でかでかと“VENEZUELA”の文字が目に入り、出入国管理のポイントであることは一目瞭然。

同行してくれた運転手は越境しない旨を伝えると、車ごとコントロールは通過できないということで、路肩に一時駐車させ、車から降りて徒歩で窓口まで向かう。10台に満たない車が列をなしていたところに、歩いていくと、割り込ませてくれて出国手続き。

車でドライブスルーのように通過する際には、係員の作業スペースはほぼ見えないが、徒歩の場合は、そのスペースの窓の前に直立することになり、係員の作業するパソコンが丸見え。

パスポートが読み込まれると、5月にカラカスの空港で入国した際に撮られた顔写真が画面に表示され、本人確認と指紋を採取されて出国手続完了。ものの5分もかからなかった。

コロンビア側からの迎えの車を待つ間に、この地点を写真に撮影してよいか職員に尋ねると、職員が携帯を触っているのが映るのはまずいが(おそらく業務に従事せずに遊んでいる印象を与えてしまうから…)、それ以外は問題ないという。

12時の約束の時間より少し遅れて、コロンビア側の迎えの車が到着。

ベネズエラとコロンビアの両国の間を流れるタチラ川

同じような手続きをコロンビアの入国に際しても踏むのかと思いきや、こちらはドライブスルーとはいかず、建物の中に入ってパスポートにスタンプを押してもらわないといけないようだ。

この看板に沿ってコロンビア側の出入国管理事務所へ

中に入るや、30人を裕に超える人が待っている。得体のしれないアジア人が現れたという視線を一気に感じる。待合の番号札のようなものは見当たらず、近くにいた警備員にどのように順番が回ってくるのか確認。ランダムに見えた30人余りの集団だが、実は列を成しているようで、後ろのほうが最後尾なので、後はその辺の人に確認してと、つれない返事。

最後方にいた方に尋ねると、あの夫婦の後ろに並びなさいと指示される。無秩序に見えて、案外順番が機能している模様。

空港の入国審査のようにテンポよく進んでいくのかと思いや、慎重に審査をしているようで時間がかかる。しかも、窓口が1つしか開いていないので尚更。

夫婦や家族連れといったグループも並んでいるにせよ、1人/組にかかる所要時間が5分ほど。ビザの書類に問題があるのか、10分以上もかかっている人もいて、単純に1組5分、30人を20組と仮定すると、100分。2時間近くも待つことになる。

ククタからのフライトは14時50分発。時刻は12時30分。間に合うのか。

飛行機の時間やタクシーを待たせてあるという理由で割り込みを試みる人がいたが、優先させるのはお年寄りと体が不自由な方のみと徹底されている。

待ち時間はもはや自分自身ではコントロールできないので、成り行きに任せるしかない。

時差を失念 ゆとりの空港着

コロンビア側の国境ポイント

待合のベンチの列がまた1つ1つと前へ前へと進んでいくが、時折、時間を要する人が現れる。ガラスの扉の向こうには、何やら様々な書類を提示しては、入国管理の職員とやり取りしている。

1時間ほど待ったのち、最前列のベンチにようやくたどり着く。あと少し。時刻は13時を回っている。この入国ポイントからククタの空港がどれくらいの距離にあるのか不明。なぜか携帯も通じないので、調べようもない。

あと2組くらいのところで、またもやジョーカー。審査に15分以上かかっている。

すぐ後ろに並んでいた婦人は、電話でいろんな人と連絡して、運転手に待ってもらうよう交渉している。「12時に約束していたので、私を置いて行ってしまわないようにお願いしている」と切実そうに話してくれた。皆、焦る気持ちは同じ。

でもふと、12時?そんなのとっくに過ぎていると思っていたら、ベネズエラとコロンビアの間の1時間の時差をすっかり失念していた。

ベネズエラ時刻から1時間戻せばコロンビア時刻になるので、まだまだフライトまで十分時間があることに気付いた。この場に及んで…。

さらにもう1つの窓口も開いて職員2人体制になったので、前の人の審査が終わるやすぐ後ろの順番だった婦人と勢いよく駆け込む。

世界最強とも称される日本のパスポートなのでちゃちゃっとスタンプを押して終わりかと思いきや、入国の目的、どの都市に何日間いくのか等々、質問攻め。研修に参加するというと、システム上の入国目的がどれに当てはまるのか職員同士でやり取りが続き、結局、10分近く入国審査に要することになってしまった。

時間はかかったが、無事に入国。外で待ってもらっていた運転手とともに、ククタの空港へ。国境から空港は10分ほどだったので、結局、時間には余裕を持って到着することができた。

何気ない旅の移動でも、島国出身としては陸路の国境を越えれるのは旅情を倍以上に掻き立ててくれる。入国審査の列は読めないので、やはり時間に余裕を持って到着するのがお勧め。また、コロンビア側の待合所は、冷房が効いていないので、日中は汗ばむ気温。さらに、30人近くが待っていたので蒸し暑さに拍車がかかった。自販機もあったが、水などを携帯して順番待ちに備えるのが賢明。

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