海外駐在生活の最も困難な点は、現地の文化・習慣を認識し、それにうまく適応できるかどうか。日本では常識でも海外では非常識なことも多々。ベネズエラ生活が半年を迎えようとする中、この間に気付いたベネズエラ生活のあるあるを紹介する話。
クレカの暗証番号は機密情報ではない!?
ベネズエラ社会では、カード払いが定着しており、スーパーではほとんどの店舗が国際クレカでの支払いを受け付けているし、レストランでも、食堂のような雰囲気の場所を除いて、その多くでカード支払いの端末が置かれている。
以前の記事で紹介したように、すでにスキミングの被害に遭っているので、クレカ払いには細心の注意を払っているのだが、それでも解せないの点がある。
まず、支払いの度に、身分証明書の番号を尋ねられ、それが端末に入力される。時間ロスという面で、この時点で少しイライラすることも。
店員が支払い金額を入力した後、驚くのは何のためらいもなく、暗証番号を尋ねてくる。っえ?暗証番号は機密情報レベルじゃないのか?日本だと、店員の方はわざわざ顧客に背を向けて、暗証番号入力の瞬間を目撃しないように配慮するのに、この差は何だ!!
口頭で伝えた番号でまたクレカが悪用されたらどうするんだと、色々と神経質になり、最初の頃は、こんなのはあり得ない!とクレカ端末を手に取らせてもらい、自力で入力していたが、だんだんと現地化が進み、馴染みの店ならば、悪用されるリスクも少ないだろうと、暗証番号を尋ねられたら、口頭で返答してる自分自身に驚く。
各国通貨が入り混じる決済
数年ほど前まで、超ハイパーインフレに悩まされていたベネズエラ。当時は、外貨を所有しているだけで、違法とみなされていたようだが、現在は首都のカラカス周辺では、ベネズエラの自国通貨ボリバルに加え、米ドルでの支払いも可能。
さらに、コロンビアとの国境地帯になると、ボリバル、米ドルに加え、コロンビアペソでの支払いも一般的。1国の中で3つの異なる通貨での決済が入り混じる。以前コロンビアで暮らしていたこともあり、コロンビアペソの方がレートに馴染みが残っており、いまだにボリバルでの支払い金額が頭の中で自動的に米ドルあるいは日本円に換算されない。
エコ意識ゼロ?レジ袋の大量消費
ベネズエラのスーパーや市場では、レジ袋はいまだ無料。そのせいか、惜しみなく利用されている。
スーパーにエコバックを持参して、レジ袋不要と伝えても、レジ袋は無料です!とあたかもその利用を促進させられるような返答。レジ袋もゴミ袋代わりになって使い道はあるのだが、いかんせんその使用される量には目を覆いたくなることも。
顕著な例は量り売りの八百屋。顧客は野菜ごとにレジ袋に詰めていくので、1人の客が10枚15枚とレジ袋を使用するのもざら。
八百屋に限っていえば、量り売りを計算する際、それぞれの野菜が袋に入れられていた方が、わざわざ野菜をカゴから1個1個取り出して計量する必要がないので合理的なようだ。
エコバックを持参して、カゴに直接それぞれの野菜を詰め込んでレジへ向かうと、店主の顔が怪訝そうな表情に変わり、袋詰めされていないと、わざわざ1個1個野菜を取り出さないといけないから大変なんだと愚痴られてしまう。エコを取るか、店主への配慮を選択するか。難しい問題だ。
電化製品も傷む停電の続発
|ベネズエラ生活で悩まされるのが停電。激しい雨に見舞われた日はしかり、そうでなくても恒常的に発生。自宅は自家発電機が設置されているので、停電中はお湯が出ず水シャワーになることを除けば、それ以外の影響は少ないが、出張先のホテルで停電に見舞われると、電話の連絡も取れなくなることもあり、さらに熱帯地域だと、うだるような暑さにエアコン・扇風機なしで耐えなければならない。
コロンビアに住んでいた時は、時折インターネットの回線がつながらなかったり、停電は半年に1回あるかないかくらいの頻度だったとうっすら記憶しており、その際には「falla」という単語で、電力やインターネットのサービスが遮断されたことを表現していたが、それに対しベネズエラでは「bajón」という言葉が用いられる。最初は何のことなのか意味が掴めなかったが、さすがに頻発する停電に、自らの口からも「またbajón」と自然に出てくるようになった有様。
停電が頻発する上、電圧も安定していないので、電化製品へのダメージも深刻。冷蔵庫がすぐ壊れたとった話を耳にするなり、雨の日は携帯を充電するのもはばかられてしまう。
半年を前に気付かされたベネズエラあるある。これからも他にも特徴的なポイントにアンテナを張って、またの機会に報告したい。