深爪を端緒に緊急外来にまで駆け込んで以降、指示された薬の服用と親指の患部の塗り薬も欠かさなかったが、症状は一向に改善せず、むしろ悪化の一途を辿って行った。
親指が膨張、痛みもピーク
前回の緊急外来に駆け込んで以降、爪の内部が菌に感染しているかのような箇所がどんどんと拡大していった。さらに、指の腹の方も、ぷくっと盛り上がってきた。
見た目の変化とともに、夜就寝する際に、指がズキズキ痛む。まるで指の中で細菌がどんどん繁殖しているかのようだ。あまりに痛みがひどくて、眠れない事態にまでなってしまい、再び緊急外来に駆け込む。
緊急外来受診必須アイテム-防寒服、スマホ充電器、水分、本
初めて訪れた前回よりは勝手がわかっていたので、同じ手続きを済ませ、診察に呼ばれるまで待機。前回の反省を活かし、緊急外来では必須の防寒対策のフリースジャケット、水、スマホの充電器、時間潰しのキンドルを持参。おかげで待ち時間も苦にならず。
2時間ほど待たされた後、受診室に通され、前回の診察より症状がよくなるどころか、悪化したことを伝える。すぐに診察ソファに座らされ、点滴が始まる。何本点滴するのだろうかと思うくらい、大きなパックが点滴の器具につるされている。
麻酔なし、気絶寸前の激痛
しばらくすると看護師がやってきた。右手親指を見せて状況を説明。すると、指の内部に膿が溜まっているから、それを取り出す必要があるということだ。
処置の前に必要な点滴が終わったのを見計らって、再び処置器具を備えた看護師が参上。「じゃ、処置を始めるわよ」と、威勢よく針を片手にする看護師。素人ながら、いまから行われる処置は医療行為なので、医師が担当すべきなのではとも疑問を抱いたが、どうやら看護師に処置が認められているらしい。
親指の腹部分、丁度爪の上あたりを目掛けて、針が刺さる。それまで指に痛みがあったので、その感覚が麻酔代わりになったのか、針が刺さった瞬間にはそれほど痛みは感じなかった。しかし、問題はここからだ。
膿を吐き出させる穴があいたら、看護師は容赦なく指を押さえつけ、中から一気に膿を外に出す。指を触られるだけでも痛いような状態なのに、指を押しつぶされて激痛が走り、思わず叫びそうになるのをぐっとこらえると、涙が出てきそうになる。
麻酔なしの処置は容赦ない。正直に看護師に痛みのレベルがマックスで泣きそうだと告げると、「痛かったら別に泣いてもいいわよ」とあっさりかわされ、指の中の膿を一滴たりとも逃さないように、指をつまみ、ぐいぐい外へ押し出す。
気絶しそうな痛みを感じながらも、指の中から膿が外へどどっと出ていくのが分かった。膿に加え、血の塊も勢いよく飛び散り、看護師さんの防護服を汚してしまった。遠のく意識の中、申し訳ないというと、気にしないでと黙々と処置を続ける。傷みになんとか耐えると、どうらや膿はすべて外に取り出せたようだ。
帰宅は午前3時
最後に指を消毒してもらい、包帯で患部を保護。2、3日は水に濡れないように、ゴム手袋を渡さられる。これで処置完了かと思いや、まだ点滴を実施する必要があると、新たに大きな点滴のパックが運ばれてきた。
うとうとしながら点滴が流れるのを眺めていると日付が変わっていた。全ての処置が終了し、会計を済まして薬局で処方箋を購入。家に戻ってきたのは夜中の3時だった。