ニュージーランド・ドライブ旅 Day5 テアナウ~マヴォラ湖~クイーンズタウン

ニュージーランド

ニュージーランド南島観光のハイライト・ミルフォードサウンドのクルーズを楽しんだ後は、クイーンズタウンを目指す。ゲストハウスのオーナーに紹介された道中のお薦めスポットに立ち寄ったら、その後、道順を間違えてとんでもない大冒険をしてしまった話。

地元住民に人気のキャンプ地へ

テアナウから次の目的地のクイーンズタウンまでは約170キロ、2時間ほどの道のり。

あまり早く到着しても、チェックインできないだろうから、どこかに立ち寄ろう。

マウントクック以来トレッキングをしていなかったので、Kepler truckを少し歩こうと向かうも、道中に雨が降り出し断念。

途方に暮れかけるが、昨夜ゲストハウスのオーナーがクイーンズタウンに向かうなら、道中のマヴォラ湖に寄ることを薦めてくれたのを思い出した。テカポ湖のような観光地ではないけれど、地元の人には人気のキャンプ地ということで、そちらを目指そう。

Kepler truckに向かっていた時は、雨雲に見舞われたけれど、少し車を走らせると青空が広がり始める。これはいい兆候。

人口より羊の数の方が多いニュージーランド

羊たちも気持ちよさそうに日光を浴びている傍を通り抜けていく。テアナウからマヴォラ湖までは1時間半ほどの距離なので、ちょっと立ち寄るには最適。

アスファルトの整備された高速道路から道順は砂利道へ

GPSに従って車を走らせると、よく整備された高速道路から砂利道の方向へ。道順が合っているのかという不安に駆られるも、ほかに進めそうな道はないので表示される情報を信じて突き進む。

少し天気も怪しくなる中、奥へ奥へと進んで行く

湖畔沿いの白樺の木々が生い茂る中を道が駆け抜けている。1車線しかないので、対向車が来ないことだけを祈りながら、奥へ奥へと進んで行く。本当にこの先に湖があるのだろうかという疑いを抱きながら。

キャンプ場らしき場所が現れると、広場にはたくさんのキャンピングカー。人だかりでわいわいキャンプというより、静かにリラックスしてそれぞれが楽しんでいるような落ち着いた雰囲気。その先に見えたのがマヴォラ湖。

山々に囲まれた透明度の高い水辺、視線の先にはさらに山頂が雪で覆われた山々の姿も見える。映えはまではいかないかもしれないが、その分、観光客は少なく地元の人が静かにキャンプを楽しむのにはベストな場所なのだろう。

辺りにはカフェなどお店は全くなく、湖を眺めながら持参したサンドイッチで昼食。シンプルな食べ物も、この景色を前にすると、贅沢なお昼ご飯の時間に様変わりする。

時間には余裕はあるので、シートのリクライニングを倒して少しシエスタ。

大自然に包み込まれる壮大なドライブ

ゲストハウスのオーナーは、マヴォラ湖からはテアナウにわざわざ戻らなくても、左折すればそのままクイーンズタウンにたどり着くと教えてくれたのだが、この“左折”という言葉だけが頭に残り、どこを曲がるのかを記憶していなかった。

誤って左折してしまった交差点

マヴォラ湖通りと高速94号線の交差点を左折すべきところをその遥か手前のニコラス山通りとの交差点を左折してしまったために、とんでもない大冒険のドライブに。

誤った道を進んでいるとも知らず、こんな雄大な景色の中をドライブしながらクイーンズタウンにたどり着けるのかと興奮。舗装されていない道路のため、砂埃でバックミラーとサイドミラーの景色は何も見えない。パリーダカールラリーのドライバーにでもなったような気分。

道を間違えたとも知らず、順調に見えたドライブに最初の難題。小川が現れる。SUV車であれば問題なさそうだが、レンタカーは小型乗用車。渡り切れるのか?

一旦車から降りて様子を伺う。流れはそれほど激しく、深さもせいぜい30センチ程度といったところか。慎重に通り道を確認。

緊張の面持ちで小川を通過。

この道はどこまで続いているのだろうかと、思わせる長い長い一本道。砂利道なのでスピードはそれほど出せないが、舗装された高速道路なら200キロくらいのスピードで駆け抜けたくなる一本道が続く。

この景色を自転車で楽しむ人々の横を通過する際は、スピードを落としなるべく砂埃が立たないように進む。サイクリングでこの景色を楽しむのもありだな。

車をどんどん走らせ山道を登っていくと、眼下には川が山々を縫って流れる景色が広がる。これまでの失敗からの教訓を活かし、ガソリンは十分にある。しかし、なぜか突然、もしこの場所でなにか起きたらどうなるのだろうかという不安に駆られる。

当然のように大自然のど真ん中、携帯電話も通じない。車が故障でもして動かなくなったらどうするのか。マヴォラ湖を出発してからは他の車に遭遇していないから、助けを呼ぶこともできない。

そもそもこの道がクイーンズタウンに続いているのか確証が持てなくなった。方向音痴の勘とでもいおうか。当初は間違っていることに気づかないのに、なにかを境に突然、ひらめいたように間違いに勘付かされる。かと言って携帯も使えないので確認しようがない。

そうだ、あのサイクリストたちを待とう。

何分の時間が経過したのかは不明だが、案外早くサイクリストの姿がバックミラーに飛び込んできた。恥を忍んでクイーンズタウンに行きたいのがこの道で合っているのか尋ねると、何を言っているんだ!この道はニコラス山に続いているので、マヴォラ湖まで戻らないといけないようだ。不安が的中。道が間違っていることを教えてくれたサイクリストには感謝しかない。

大人しく来た道を引き返す。失意の中、同じ道をドライブしているのに、その景色の雄大さに気分が高まっていくにがわかった。後にも先にもニコラス山通りがニュージーランドドライブ旅の一番の景色だった。いつかまたここに戻ってきて、今度はSUV車でニコラス山を目指したいものだ。

再び、先の交差点まで戻ってマヴォラ湖通りを進み、高速道路の交差点まで向かう。そう、この交差点がゲストハウスのオーナーが言った、左折の分岐点だったのだ。うろ覚えが引き起こした思わぬ大自然の中のドライブに別れを告げクイーンズタウンを目指す。

クイーンズタウンまでラストスパート

もうここまで来たら道を間違えるはずがない。携帯電話の電波も入っているので何の心配もない。ニコラス山通りは乾燥した大地を駆け抜けている印象を受けたが、一転して緑溢れる高速道路がクイーンズタウンまで導いてくれる。

機嫌よくドライブしていると先方車が詰まり始める。パトカーの姿にスピード違反で罰金を取られた苦い思い出が蘇る。飲酒運転のチェックの検問でも実施しているのかを思いや、どうやら交通事故のようだ。道路の片側には、大きなトラックが文字通り横転していた。横たわった車両に気を引き締めさせられる。安全運転でクイーンズタウンに向かおう。

ワカティプ湖の姿が見えてくれば、クイーンズタウンまではあと少し。大自然の中を彷徨ったので、日暮れまでに到着するか心配したが、湖の表面は西日を受けてまだキラキラと輝いている。

数日前に一度、クイーンズタウンには立ち寄ったので、少し懐かしさも感じながら無事に到着。

道を間違えてしまったために、思わぬ壮大なドライブを経験することになったが、これも旅の醍醐味。スマホで念入りに情報をチェックして、ピンポイントで目的地に向かうのも効率的でよいが、たまには失敗がもたらす意外な発見も旅の思い出として長く記憶に留まるのを楽しむ余裕を持ちたいところ。

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