旅にトラブルは付き物。その事象が発生したときは、せっかくの旅行なのにと気落ちしてしまうが、旅が終わると、旅先でのどんな美しい景色やおいしい食事よりも、案外、トラブルの記憶の方が鮮明に残る。今回のタイ旅行も例外にあらず、滞在中に起こったトラブルの話。
メンテナンスが夜まで電力供給なし
旅のある朝、民泊の部屋で事務作業をしていると、突然ネットへのアクセスが遮断される。パソコン以外のデバイスもWifiに接続できない状態。
管理人の連絡先に電話し、状況を伝える。すると、デバイスの点灯状態を尋ねられ、さらにはルーターの写真を撮って送るように指示される。迅速に指示通り応答。
急いだせいか汗が噴き出る。と、その瞬間、Wifiどころか、エアコンも効いていないことに気づく。もはやこれは電力の供給がストップしているのではないか。冷蔵庫を開けると中は薄暗い。
この部屋だけの事象なのか定かではなかったため、再び、管理人に電話をして電力が供給されていない旨を伝える。
すると、メンテナンスのお知らせのスクショが送られてきた。どうやら、この日は午前10時-12時までコンドミニアムのメンテナンスのため、電力の供給がストップするということだった。
通知されたのはわずか1日前。しかも、エレベーターホールに掲示されていただけで、民泊のオーナーからの情報共有もなく、知る術がなかった。
ひとまずWifiが機能しない理由が分かったが、電力がないのでどうしようもない。クーラーが効かない室内は徐々にサウナ化していく。
幸い、ジムのあるコンドミニアムの別の棟はメンテナンスの対象外ということで、時間潰しにジムで軽く運動。
民泊オーナーは補償に応じず
メンテナンス予定終了時刻の12時を回ったので、運動を終えて部屋に戻ろうとすると、今度はエレベーターすら動いていない。こんな時に限って最上階の7階。タワマンだったらどうなっていたことか。
蒸し蒸しする非常階段を上って7階の部屋にたどり着くころには、ジムでの運動よりも汗をかいたくらい。電力がないのでお湯ではなく水シャワーで汗を流す。
いつ再開するとも分からない電力を待ちぼうけするわけにもいかないので、しばし外出。
午後6時くらいに戻ってくると、片方の棟のコンドミニアムには日没とともに室内の明りが灯り始めているのに、滞在している方の棟は真っ暗。まさかのまさか、まだメンテナンスが終了してない。
というより、メンテナンス中になにか事故が発生したのだろうか。警備員や管理人に尋ねてもあと1時間くらいかかるという曖昧な返事のみ。
この時点で、携帯からAirbnbのオーナーに事態を説明するメッセージを送信。
さすがに灯りもクーラーもない部屋に戻るわけにはいかず、近くのカフェでフルーツシェイクを飲んで、足つぼマッサージ1時間の施術で時間潰し。
マッサージでリラックスして戻ってきたときにはようやく電力が復旧。オーナーからの返信も届いていたが、メンテナンスチームのミスで自分には非がないの一点張り。
少なくとも、滞在中に2時間、この暑いプーケットで電力が供給されないということに対して補償すべきと訴えたが、聞く耳持たず。72時間以内であれば、Airbnbにクレームを申し立てることができるが、電気がない半日に疲れて、手続きをするのを忘れてしまい、結局、補償は受けられず。
コインランドリーでの失敗
灼熱のプーケット島では少し外を歩いただけで汗だくになり、1日にTシャツを2、3枚着替えることも多々。どんどん溜まる洗濯物に、旅以外の日常生活と同じくらいの頻度で洗濯が必要になる。
民泊の部屋には洗濯機がなかったが、コンドミニアムの共用スペースに洗濯機が設置されており、1回80バーツ(=約340円)で利用できる。
支払いは硬貨のみということで、お釣りなどでなんとか10バーツ硬貨8枚を集める。
共用スペースに設置されている洗濯機・乾燥機はそれぞれ2台ずつ。戸数の割には少ない印象だが、室内に設置されている部屋もあるのだろう。
日中は順番待ちが発生しそうなので、少し早起きして洗濯ルームに向かう。あいにく、容量が大きい洗濯機は既に先客により使用中。小さいほうでも、洗濯物の量からすれば問題ない。
硬貨を入れてみるが、すぐに戻ってくる。何度やっても駄目だ。壊れているのか。埒が明かない。
隣の洗濯が終わるのを待つという選択肢もあったが、まだ30分近くかかる。
仕方なく、コンドミニアムの通りを挟んだ向かい側のコインランドリーへ。前述のように少し早起きしてまだ寝ぼけていたというのもある。下の段の洗濯機に洗濯物を入れるために、姿勢をかがめるのが億劫だったので、目の高さほどの上の段の機械に洗濯物を入れて硬貨を投入しスタート。すると、勢いよく回り始める。なんだこの洗濯機は?洗濯物の重さを量るために回っているのか?水が出てくる気配がない上、透明の扉越しに熱気が伝わる。
ようやく、洗濯機ではなく乾燥機に服を入れてしまったことに気が付く。なんてこった。慌ててキャンセルを試みるも、もはや一旦始まってしまうと、動作の取り消しはできない模様。確かによく見てみると、上方向の矢印にはDryer、下方向の矢印にはWasherと記載されている。朝一ということで注意がそこまでいかなかった。
必要のない乾燥のプロセスが終わるまで30分も待ちぼうけ。おまけに、せっかく集めた硬貨も使ってしまった。幸い、コインランドリー内には両替機があり、紙幣から硬貨に替えることができることが判明。
両替機がエラー、運のない1日
洗濯機と乾燥機を間違えることを想定していなかったので、財布を持ってこなかった。乾燥機が回っている30分の間に、コンドミニアムの部屋まで財布を取りに戻る。
たかが洗濯1つごときでこんなことになるとは。コンドミニアムとコインランドリーを往復しているだけで汗が噴き出る。
気を取り直して、硬貨を準備すべく、紙幣を両替機に。すると、チャリンチャリンと硬貨が出てくるはずが、エラー表示。どうなっているんだ。故障かなと思ったときのお決まりのアクションである、機械を叩いてみる。しかし、何の反応もない。
20バーツが両替されずに失われた上、硬貨が準備できないので、乾燥機が終わった後に、洗濯すらできないという事態に。何と運のない1日の始まりなのか。
どうしようもできないので、ひとまず乾燥機が終了するのを待つ。すると、無人のコインランドリーを掃除する職員が到着。事情を説明すると、別のスタッフがもうすぐ来るので待つように指示される。
いつ来るとも知らないそのスタッフを待つのは気が遠くなりそうだが、間もなく到着。どうやらこのスタッフは、それぞれの機械から硬貨を回収するのが任務のようだ。
少し運気が上向き始める。事情を説明すると、両替機に“ERR”の表示が出ていたので、すんなりと20バーツの返金に応じてくれ、ついでに洗濯用に両替もしてくれた。乾燥機が終わり、今度は間違えずに、下の段の洗濯機で洗濯開始。
自分で蒔いたトラブルの種とは言え、洗濯をするのにも一苦労。
今回のタイ旅でトラブルとして発生した停電と洗濯事件だが、それも今となってはよい笑い話。