部族の伝統と誇りが高揚するパプアニューギニアのお祭り

イベント

800以上の部族で構成されるパプアニューギニア。外国人として駐在する現地での日常生活において、その部族の多様性を感じることはあまりないが、現地で開催されるお祭りに繰り出してみると、各部族の伝統と誇りが受け継がれていることに気付かされる。そんなパプアニューギニアのお祭りを紹介する話。

シーズンを通じて各地で開催される祭典

マウントハーゲンショーでのパフォーマンス

パプアニューギニアのお祭りは、年間を通じて各地で開催されている。

主だった祭りは、8月頃にエンガ、マウントハーゲン、9月にゴロカ、11月にレイと続く。

パプアニューギニアの地方都市は、首都と陸路で結ばれていない地域も多く、空路での移動か、お祭りが組まれたツアーに参加するのが賢明。

現地の同僚の手助けを借りて、夏から秋にかけてのマウントハーゲンとゴロカで開催されるショーに参加。

VIPチケットで安心して祭りに参加

木琴のように丸太を叩いて演奏

ショーと言ってもどのようなイベントなのか全く想像がつかない。地元の同僚によれば、広場が解放されて、そこにそれぞれの部族が伝統衣装に身を纏って集まり、受け継がれる音楽や踊りを披露するというもの。

会場は一般にも無料で開放されるが、イベントがスタートしてからの数時間は、VIPパスの購入者と祭りの参加者のみが会場に出入りできるという。

このVIPパスは300キナ、約1万円以上となかなかの高値。現地の物価を考慮すると、このパスを購入する大多数は外国人観光客。マウントハーゲンでこんなに多くの外国人を一同に見たことがないというくらい、多くの観光客がオーストラリアや欧州を中心にこのイベントを訪れる。

VIPパス保有者のみが入場できる時間帯は、それほど混雑もなく、部族と一緒に写真を撮ったり、ドラム太鼓を叩かしてもらい、肩を並べて踊ったりと安心してお祭りを楽しむことができる。

ある程度の時間が過ぎると、会場はVIPパス購入者以外にも開放され、一気に混雑する。

日の移り変わりとともに、部族の誇りが高揚する雰囲気の中、お酒も入ると、部族間同士でのいざこざに発展するリスクがあり、一般開放されたら、できるだけ早く会場を後にするようにと地元の同僚からアドバイスを受ける。

マウントハーゲンショーではVIPパスを利用して、祭りがクライマックスを迎えるであろう頃合の前に、安全のために早々に引き上げる。

一方、ゴロカショーも同じようにVIPパスが設定されているが、こちらはこの地方出身の同僚によると、マウントハーゲンショーのような危険性は低いという。

VIPパスが購入できなかったので、一般開放と同時に会場に入り、それぞれの部族のパフォーマンスを楽しむ。

装飾はフェイスペイントからペニスケースまで

髭まで白くペイント

日常生活では、伝統的なカラフルなニットバッグを目にすることがよくあるが、お祭りともなれば、その装飾のレベルも一気に華やかになる。

ペイントは顔だけにとどまらず、部族によっては、全身に及ぶことも。

身につけた装飾品の華やかさに負けないくらい、表情にも彩が映える。

伝統的なニットバッグ

腰巻やニット帽、鳥の羽を並べた王冠のような被り物、それぞれに手の込んだ伝統衣装に目を奪われる。

歌や踊りも含めて、もはやアートの域に達している。美しさとはなにかを自問させられる。

ペニスケースを装着した部族

パプアニューギニアで話題になるのが、ペニスケース。民芸品店などで目にすることはあっても、さすがに日常生活でそれを装着している人を見かけることはまずない。

しかし、祭りともなると別。

もちろん全ての部族が着用するというわけではないが、一部の部族にとっては正装の模様。引き締まった体に芸術作品のようなペニスケースがマッチして、勇ましさがアップした印象。

ショーの楽しみ方

フェイスペイントのサービス

伝統的な衣装に身を包んだ部族による歌とダンスを見ているだけでも十分に楽しめるが、+αの楽しみ方として、1つは部族と同じフェイスペイントにチャレンジ。

パプアニューギニアの人はフェイスペイントが大好きと言っても過言ではないくらい、お祭り以外でも、ラクビーの試合当日に、応援するチームのシンボルを顔にペイントする。

お祭りでは、20キナ(約800円)ほどでフェイスペイントのサービス。お気に入りペイントを見つけたら、早速、顔にデザインを施してもらう。

外国人は目立つので、顔にペイントしてもらっている間に、気が付けば、周囲には人だかり。ペイントが終了するや、地元の人から一緒に写真を撮ろうと、あちこちで声をかけられる。

パプアニューギニア人の同僚は、外国人が自分たちの文化や伝統に興味を持ってくれ、フェイスペイントで一体感を示してくれたことに感動と興奮がやまないので、記念に写真を撮りたくなるのだろうと説明してくれた。

顔にペイントされただけなのに、祭りに参加している部族と同じく、スーパースターにでもなった気分を味わえる。

会場の周辺では民芸品のマーケット

祭りをショーとして楽しむのが大前提だが、このイベントは、民芸品を購入する絶好の機会でもある。

ショーが開かれる周辺には、各部族がそれぞれの民芸品を持ち寄り販売している。もちろんあのペニスケースも。

人気なのは木彫りのお面、ドラム太鼓、置物など。籠バッグやニットバッグは実用的で普段使いもできる。

パプアニューギニアのお祭りは一生のうち一度は是非訪れてもらいたいイベントの1つ。その文化と多様性を存分に味わえる貴重な機会となりうるだろう。

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