クレジットカードのおかげで、海外駐在生活もずいぶんと助けられる。現地で銀行口座を開設したり、まとまった現金を持ち込んで両替したりしなくても、クレカ1枚で日常の支払いにある程度対応できる。ベネズエラでは、残念なことに赴任早々にスキミング被害に遭ってしまい、カードを停止したため、しばらくメインのクレカを利用することができなかった。
日本に一時帰国した際に、再発行されたクレカをピックアップして、ベネズエラで再びメインカードとして利用再開。スキミング対策も兼ねて、こまめにWeb明細をチェックしていると、ある疑問が沸いてきた。そもそもベネズエラでクレジットカード払いはお得なのか、損なのか。今回は、実勢為替レートと支払い時適応されるレートから、ベネズエラでのクレカ払いの利点を探る話。
ベネズエラボリバルに対しては円高傾向に
ニュースで取り上げられる為替相場はせいぜい米ドル円のレートくらい。残念ながら米ドルに対しては円安傾向が続いているのが現状。一方、他の通貨に向けてみると、違った景色が見えてくる。
ベネズエラの通貨・ベネズエラボリバルと円の為替相場は、2024年の6月を境にして円高傾向に。同年7月に実施された大統領選挙が影響しているのかもしれないが、円の価値が高まることは、現地に駐在している身としては喜ばしい。
実際に、クレカの明細をチェックしてみると、2024年6月の換算レートは1ベネズエラボリバル=4.4246円だったのに対し、2025年1月にはそのレートが3.0342にまで下がっている。つまり円高になっている。
円高でも生活費が安くならない理由は?
円高に振れたからと言って、特に贅沢品を購入するわけでもなく、食材のランクを上げたわけでもないが、毎月のクレカの支払いはそれほど変化なし。同じようなものを購入しているのであれば、円換算した際には安くなっているはずだが、そうはなっていない。あるいは、通貨安を受けて、ベネズエラボリバル建てでの値段がインフレで上がっているのかもしれないとも考えた。
残念ながら数カ月前の商品1つ1つの値段までは記憶していないので、通貨安によるインフレで値上げが実施されたかは検証不可能。
スーパーで購入する商品は、それほど変わりはなく、野菜や果物を買う市場での買い物が高く付いているような印象を受けたので、チェックしてみると…。
まず、その前にコロンビアとの国境近くのベネズエラの通貨事情を説明しよう。これらの地域ではベネズエラ国内でも、ベネズエラボリバルよりもコロンビアペソのお金の方が出回っている。米ドルも使用可能。従って、ほとんどの市場はコロンビアペソで計算され、カード払いの際はベネズエラボリバルが適用されるシステム。
この際に、用いられる為替レートが実勢レートとかけ離れていることが判明。
現在のレートでは1ベネズエラボリバル=約78コロンビアペソ、日々為替レートに変更はあるが、2025年1月下旬にスーパーで買い物した際は、このレートに近い1ベネズエラボリバル=73コロンビアペソで計算されていた。
しかし、市場では1ベネズエラボリバル=60コロンビアペソで計算されており、そのため実勢レートよりも20%ほどベネズエラボリバル高となっており、そのせいもあって、ボリバル安にも関わらず、生活費の圧縮を実感できていなかったことが判明。
クレカ or 現金
クレカ払いは、手元に現金を準備する手間が省け、お釣りがないときなどは特にクレカが重宝される。さらに、積極的ではないが、陸マイラー活動の一環としてクレカ払いをして、夢のマイルでファーストクラスに搭乗するために、コツコツとクレカポイントを積み上げたい思惑もある。
しかし、こうも為替レートが実勢とかけ離れていると、支払い方法の見直しが必要だろう。
ということで達した結論は、スーパーは実勢為替レートに近い値で換算されるので、今まで通りクレカ払いを継続し、市場はクレカ払いが割高になるので現金に切り替えることにしよう。