海外駐在生活で最も恋しくなるのは日本食!ありがたいことに、日本食は世界的に認知されており、世界の主要都市で日本食レストランにありつけないということはないと言っても過言ではない。お寿司以外にも海外で日本食のバリエーションが広がっており、その筆頭格はやはりラーメン。カラカスに新しくオープンしたというラーメン屋へ。さてそのお味は…。
日本食のリベンジなるか?蘇るベネズエラでの日本食の苦い記憶
ベネズエラに来てからチャレンジした最初の日本食は、お世辞にも美味しいとは全く思わなかった上、結局、それ以降日本食レストランへは足が遠のいてしまった。
首都・カラカスに転勤になってから、旧知の仕事関係の方と、日本食レストランで一度、食事をする機会があったが、料理自体は正統派の日本食という印象を受けたものの、日本食への恋しさを紛らわすために通い詰めたくなるほどではなかった。
しばらく外食で日本料理からは遠ざかっていたが、それでも常に同僚からどこの日本食レストランがお勧めか、よく尋ねられ返答に困惑することがしばし。正直、クオリティと値段を考慮すると、わざわざベネズエラで日本食を食べなくても、日本に帰国した際に、存分に楽しめばよいというスタンス。
ところがある日、近所に新しくラーメン屋さん Ajisen Ramen がオープンしたということで、同僚から食事の誘いを受ける。折しも、これが3度目の日本食レストランでの食事。文字通り、三度目の正直なるか。
大行列、ラーメン店なのに鈍い回転率
映画を観てからという同僚に合わせて、午後8時過ぎにラーメン屋さんに。実は前日に、すぐそばのレストランで別の同僚の誕生日会があり、その際にちらりと見えたラーメン屋さんは閑古鳥が鳴いているような状態だった。しかし、この日は週末ということもあったせいか、溢れんばかりの客。順番待ちのリストが入り口に存在するわけでもなく、少々カオス状態。ようやくノートを手にした店員を発見し、リストに名前を書いてもらう。前には7組ほどが待っている状態。
店内はそこそこ広いので、30分もすれば入店できるだろうと思っていたが、読みが甘かった。ラーメン屋さんは、日本では正直、長居する食事処ではなく、回転率も速いが、ここは南米・ベネズエラ。日本食レストランで食事をすることは一大イベント。
その証拠に、誕生日を祝う歌声が響いてくる。おいおい、ここはラーメン屋だぞ!日本のラーメン屋さんはケーキを食べるような場所ではないが、ベネズエラは別世界。麺が伸びないうちにさっさと食事を済ませて、店を後にするよう願うが、その思いは届かず。
結局40分ほど待ってようやく入店。この時間帯でも新たに到着する客もいたが、営業時間を考慮すると、リストに名前は載せられないと断られていた。
ラーメン1杯約10ドルからとリーズナブルな価格
日本でもインフレの影響で、ラーメン1杯が1,000円を超える店舗もあるが、海外だと2,000、3,000円はざらにするラーメン。おまけにカラカスの物価を考慮すると、一体いくらになるのだろうか。
メニューに目を向けると、一番ベーシックなラーメンは9.95ドル(=約1,500円)と以外とリーズナブル。豚骨ベースのラーメンのようだ。
他にもチャーシュー麺13.5ドルなど。これらのメニューを見る限りは、正統派の日本のラーメンの模様。しかし、スペアリブラーメン、チキンカツラーメン、トンカツラーメンと遊び心満載というか、肉肉しい揚げ物とラーメンがどのようにマッチングするのか、好奇心もそそられるバリエーションもあったが、ここはベーシックに基本の豚骨ラーメン。同僚も冒険は避け、皆で基本のラーメンを注文。前菜として餃子も注文。
日本のラーメン屋さんなら、遅くとも注文してから10分くらいでラーメンが運ばれてくるだろうか、ここは異国の地。ひとまず、前菜の餃子が運ばれてくる。あいにく写真を撮るのを忘れてしまったが、揚げ餃子。味は悪くはないが、期待値以上ではない。
前菜を皆でシェアすると、そこからはラーメンが来るまでの待ち時間。同僚のフランス人は、普段から待つことに非常にストレスを感じる方で、まだかまだかと少々イライラが募り始める。
まだ、この同僚は日本に来たことがなく、次の旅行先のリストのトップは日本ということで、日本のラーメン屋さんはこんなに待たないから心配しないでとお告げ。
注文してから30分くらいたったころにようやくラーメンが運ばれてくる。見た目は日本で食べるラーメンと遜色はない。ベネズエラでこれまで食べた日本食の経験では、例えば寿司の場合、見た目からして想像を超える寿司の解釈で、驚かされたが、このラーメンに至っては、日本のラーメンを忠実に再現している印象を受ける。
では実食。
まずはスープから。トンコツのわりにはあっさりとしているというか、少しコクのパンチが足りないような気がするが、それでも海外のラーメンでは煮込みが物足りないことが多い中、このスープは合格点。
肝心要の麺は少し茹ですぎている感が否めず、また麺そのものの味わいは物足りなさを残す。トッピングのきくらげの食感は、懐かしさを感じさせてくれた。トッピングのメイン、チャーシューは口の中でとろけるほどに煮込まれているというわけではないが、ジューシーさは十分で、ラーメンの味わいを引き立ててくれている。
総合すると、このラーメンは日本食としては及第点。いつも辛口のコメントで同僚からからかわれるが、このラーメンに至っては5ツ星のうち、3.5くらいの評価を付与してもよいだろう。
カラカスでおススメの日本食レストランを尋ねられたら、このラーメンを選択肢の1つとして推薦できると思えるくらい。会食などのシチュエーションには向かないが、気軽に日本食を楽しむのには十分。
3度目の日本食レストランチャレンジにしてようやく及第点の食事にありつけた。